歯ブラシに豚毛を使うようになったのは、関東大震災後の事でした。それまでは牛や馬の毛が用いていましたが不足し、その代用として豚毛が利用されるようになったと言います。歯ブラシが一般に普及し始めたとされるのは明治20年代の前半ごろと考えられます。
そして、清掃用具として完全に位置づけられたのはその後半からでしょう。また、この頃には盛んに歯の清掃とともに舌の清掃も行われ、昭和の初期まで歯ブラシの把柄を薄くしてヘラ状にした舌かき歯ブラシが売られ、明治から大正にかけて盛んに行われていたようです。
一方、すべてが手工業であった歯ブラシ製造も、1884年ごろから機械化されていきました。戦後になると、歯ブラシの生産の本格的な機械化、材料などの研究開発も進んでいきました。とりわけ、樹脂とナイロンの出現が画期的だったようです。